ULTIMATE-Subaruの広視野補償光学(GLAO)で開発している補償光学システムでは、4つのレーザーガイド星を空の狭い領域に集中させ、その領域の大気揺らぎを完全に補正することで可視光から近赤外線までの広い波長域で望遠鏡の回折限界に迫る高い空間分解能が得られる狭視野モード(LTAOモード)も実装する予定です。このモードを利用して、点源への感度を極限まで高めたシングル分光で、狙った天体について可視光から近赤外線まで同時に分光できる高感度・広帯域分光装置を実現を目指しています。
NINJAは光学設計をLTAOに最適化することで、すばる望遠鏡でこれまでにない高感度分光観測を目指します。さらに、すばる望遠鏡にこれまでない可視光から近赤外線までの同時分光観測を実現することにより観測効率を大幅に向上させます。この高感度・広帯域分光観測装置は、主に次のような研究に力を発揮します。
- キロノバと超新星の高感度・広帯域分光観測により元素の起源を解明する。
- 高赤方偏移銀河の分光観測により銀河形成過程を解明する。
- 低金属銀河の分光観測により宇宙の初代銀河を解明する。
- 高赤方偏移クエーサの分光観測により超巨大ブラックホールの起源を解明する。
- 低金属星の分光観測により宇宙初期の元素合成過程を解明する。